SUPER DELICATE 2

                          BY 月香



 鴆が総会を休んだ。理由は体調不良とのことだった。
 欠席を詫びる書状は鴆の筆跡のもので、ならば文字が書ける程度には元気なのだろうか。
 鴆に何かあれば、蛙番頭がリクオに直接連絡をよこす筈だった。
 最近はあまり無かったことだったので、リクオは総会が終わってすぐに見舞いに出かけることにした。





 すっかり夜も更けていたが、妖怪世界にあまり時間は関係ない。
 鴆が眠っていても、顔だけ見て帰ろうと思っていた。
 リクオは今日は人間の姿だ。が、やることは妖怪の姿の自分と同じだ。
 いつものように朧車で勝手に薬鴆堂の結界を通り抜けて庭に降り立つと、勝手に鴆の自室に向かう。
 部屋からは、障子を通して行燈の光が見えていた。
 わざと気配を絶ち、こっそりと鴆の部屋の障子を開けたリクオは、座布団に腰を下ろしている鴆の背を見て安堵 した。
 常に床にいなければならない訳ではないようだ。
「──お見舞いのつもりだったんだけど……元気そうだね?」
 総会を休むくらいなので床に就いているかと思ったら、普通に座って机に向かっている。何やら調剤の作業中のようだった。
 突然、声をかけられて鴆がびくりと肩を震えさせた。
「リ、リクオ!?」
 鴆は酷く驚いた様子でばっと振り向き、主の姿を目にした。
 リクオはにっこりと笑っている。
 調剤の作業を止めるわけにもいかず、鴆はやむなく首だけ振り向いてリクオの来訪を迎えた。
「仕事中ごめんね」
「あ、いや……」
 その様子を見ると、鴆は体調不良を理由に今日の総会を欠席したのではなかったようだ。と、いうことは……鴆は、リクオに嘘をついたことになる。
 主であり、恋人である自分に隠し事をするなんて鴆らしくないと思いながら、リクオは鴆を問いただす。
「どうしたの?総会を休んで」
 鴆は、はっとした。欠席の詫び状には『体調不良』と書いていたのだ。
「め、面目ねぇ。……その、ちと具合が良くなくて……」
 と、鴆は全く信憑性の無いことを言う。
「ふうん?仕事してたのに?」
 訝しげに眉をしかめたリクオが部屋に足を踏み入れようとすると、鴆の鋭い声で制止されてしまった。
「部屋に入るな!」
「え?」
 リクオは廊下と部屋の境で立ち止まってしまった。
「……今、風邪をひいてるんだ。お前にうつしたらまずいから……」
「でも、結構元気そうだよね?仕事してたんでしょ?」
 鴆は手元にちらりと視線を動かし、困ったように笑う。
「その薬を今作っているところなんだ」
「邪魔しないから入るよ?」
 そう言いながら、もう既にリクオは部屋に一歩足を踏み入れている。
 自分に近づいてくるリクオにぎょっとした鴆は、手を振り回してリクオを再び制止した。
「ちょ、ちょっと待て!」
 鴆は傍らの机の上から白いマスクを手にとって、自分の口元を覆う。それは、蛙番頭が人間の店から購入してきた、不織布の使い捨てのマスクだ。
 リクオに風邪がうつらないよう、予防のために身につけたのだ。
 そして……、もう一つマスクを手にとったが、鴆は少し考えてからそれを置き、代わりに胸元から手拭いを取り出した。
 その清潔な手拭いを、鴆は自分の膝に乗せていた──鳥の嘴に巻き付けるように取り付けた。
「えーっと」
 リクオはようやく、鴆の膝の上に緑色の鳥が乗っていることに気づいたのだった。
 鴆は神妙な顔つきで、鳥の嘴に布を巻き付けている。そんなシュールな光景にリクオは呆気にとられた。
 それでは口を開けることもままならないだろうに、鳥はおとなしくされるがままになっていた。
「……よし、いいぞ。あ、念のためにお前もますくをしろよ」
 鴆は腕を伸ばして、なるべく遠くからリクオにマスクを手渡す。
 しかしリクオの関心はマスクではなく、鴆の膝の上に注がれていた。
「……その鳥って、『鴆』?」
「え?ああ、──そうだ」
 鴆の膝の上には、1羽の鳥がすとんと納まるように座っていた。
 深い緑色の羽根が、行燈の光を受けて金色に輝いている。
 瞳の色も鴆と一緒だ。血のような紅さでじっとリクオを見つめていた。そして長い嘴は──手拭いでがっちりと巻き締められ、鼻も覆われて息苦しそうだ。
「へぇ、鳥の『鴆』って初めて見るけど、綺麗だね」
「そ、そうか!そりゃ良かった!」
 鴆は嬉しそうに目を輝かせ、鴆鳥は翼をばさばさとはためかせた。





 リクオは、薬師である鴆の指示に従い、仕方なくマスクを受け取り装着する。
 そうしてようやく、鴆の側に近づくことを許されたのだ。
 ただの風邪にしては大げさだな……と考え、リクオはある可能性にたどり着いた。
 鴆鳥もマスク(らしき布)を付けられているということは、まさか【鳥インフルエンザ】?だとしたら、鳥妖の鴆にとって大変な病ではないのか。
「……ただの風邪じゃないんでしょ」
「え?」
「こんなに厳重にマスクさせて」
 と言いながら、リクオは鴆の膝の上から、ひょいと鴆鳥を持ち上げた。
「あっ!おい」
「何?……この鳥さんから風邪がうつるの?」
「ああそうだ」
「えっ、本当?」
 やはり、鳥インフルなのか?リクオが緊張感を持って鴆鳥をじっと見つめていると、鴆は腕を組んで溜め息をついた。
「しょうがねぇな。……手もちゃんと洗っとけよ」
 リクオの杞憂をよそに、鴆はあっさりとリクオが鴆鳥に触れることを許したのだった。
「う、うん」
 あれ?そんなに大変な病気じゃないのかな。
 膝の上の鴆鳥も、マスクの所為で何も言えないようだが、逃げ出すそぶりもない。鴆の一族だとしたら医療に長けている筈だから、特に何の反応を見せないということは、やはり大きな問題は無いのだろうか。
 ──ところで、この子(成鳥?)は何故ここに居るのだろう。基本的に『鴆』一族は、隠れ里から出てこない筈だ。
「この鳥さんって、誰?紹介して」
「……えーっと」
 鴆は明らかに戸惑いながら、言いにくそうにしている。
「言えない素性なの?」
「そ、そういう訳じゃねぇよ!」
 リクオに不審の目を向けられ、鴆が慌てる。けれど、このリクオの膝の上の鴆鳥の名前は言わない。リクオは、いつもの鴆の頑固なところが出たかと諦め、あとでゆっくり聞き出そうと決めた。
「でも、……鴆君の膝を独占してもいいのはボクだけだよ、分かってるよね?」
 さっきまでこの鴆鳥は、鴆の膝の上にいたのだ。自分が今日、ここに訪れなければ、ずーっと側に居たかもしれない。
 鴆の膝は、自分が膝枕をしてもらうためにあると勝手に決めているリクオは、ちょっと気に入らない。
「いや、ソイツは……」
 鴆が目線を逸らす。
 基本的にリクオに対して嘘を言わない鴆は、どう説明するか迷っているようだった。
 そしてまたリクオはある可能性にたどり着き、愕然とした。
 はっ!まさか、……鴆の里から連れてきた許嫁とかだったら、──許さねぇ
 思わず妖怪の血が滾ってきたことに気づき、はっとしてリクオは平常心を取り戻すべく深呼吸をした。
 なんとか気を取り直すと、リクオはさっそく行動に移した。
 だったら鴆鳥から直接聞き出すだけだ。鳥妖であれば、人の言葉を話す筈だ。
 リクオは、膝の上の鴆鳥の嘴の布に手をかけた。
「苦しそうだよ。布、取ってあげたら?」
「あ、やめろ!」
 鴆と鴆鳥が抵抗の意思を見せる。
 リクオは鴆鳥を左手でがっちりと抱え、右手で詰め寄ってきた鴆をひょいと躱した。
「可哀想じゃない」
 雄なのか雌なのか子供なのか成鳥なのかを探るため、リクオは妖気で鴆鳥を覆う。と、すぐにリクオはあることに気がついた。
 あれ?この鴆鳥の妖気って、すごく鴆君に似てる。っていうか、同じ?
 そして、つい手触りの良い羽毛をさわさわと撫でると、鳥がくすぐったそうに身をよじったが、それと同時に鴆がびくりと反応した。
「うひゃっ、くすぐってぇ」
「え?」
「あ」
 鴆は、しまった!という顔をしている。
「……」
 さわさわ。リクオは無言で鴆鳥をまさぐった。
「ばっ、馬鹿野郎、変なとこ触るな!」
「この鳥って、……鴆君?」
 まさか、とリクオはついに気がついたのだった。





「……インフルエンザなんだ」
 鴆が、とうとう白状した。総会を休んだ理由は、これだったのだ。
「薬師のくせに病を貰ってくるなんざ、面目無ぇ」
「今更でしょ、そんなの」
 元々虚弱体質の鴆だ。しょっちゅう病に伏せているので、特に驚くこともない。
 鴆は、最近は人間の暮らしに紛れ込んで生活している妖怪も多いので、そんな患者からウイルスを貰ってしまったのかもしれないと言った。
 幸い熱も出ないし、それが原因の咳なども無いという。
「鳥インフルじゃないよね?」
 リクオは、膝の上の鴆鳥をじっと見つめる。
「ああ。……えぇ香港型ってヤツらしい」
 以前も鴆は、リクオ経由で人間のインフルエンザウイルスを貰ってしまい、妙な症状が出たことがあった。
 リクオの記憶によれば、その時も【A香港型】ではなかっただろうか。
 そのことがきっかけで鴆は、インフルエンザウイルスについて色々と勉強するようになっていた。
「オレは……その所為で妖気が不安定になって、人型と鳥型に別れちまったみたいなんだ」
「へぇ」
 この鳥も鴆自身なのだとしたら、リクオにとって愛しい恋人に違い無い。リクオは無意識に鴆鳥の滑らかな首筋を撫で、光をはらむ羽根に指を滑らせていた。 
「うひゃっ……だから、あんまし触るなって!お前にうつしたらやばい」
「平気だよ。ボクは今年ちゃんと、予防注射したからね」
「予防?……そんなもんがあるのか?」
「言ってなかったっけ」
 リクオは思い出した。そういえば以前、鴆が罹患したインフルの所為で『リクオ』としか声を発することが出来なくなったのがとても可愛らしかったので、慌てて教えなくてもいいかと……ついうっかり、「予防注射」の存在を伝え忘れてしまったのだ。
「なら大丈夫か……。けど、念には念を入れてだな……」
「前は『リクオ』ってしか囀れなくなってたけど、今回はこういう症状が出ちゃったんだね」
「囀るって言うな!」
 膝の上の鳥も抗議のために、首をぶんぶんと横に振っている。
「だって、可愛かったよ」
 何をしゃべっても『リクオ』としか声を発することが出来なくなり、恥ずかしそうにリクオにすがってくる鴆の姿は、リクオにとって恋人の可愛らしい甘えた仕草にしか見えなかった。
「でも、初めて見たよ。鴆君の鳥の姿」
 鴆が鳥妖だということは知ってはいたが、実際に目にするのは初めてだ。
「必要無いからな。高位の妖ほど人に近い姿を取れる。人型で居るってことは、オレがそれだけ強いってことなんだぜ!」
 なるほど、『弱い・脆弱・病弱』などと言われ続けてきた鴆のせめてもの矜持なわけだ。つまり、鳥型の姿を晒すことは、弱さを認めることになるのか。
「こういうことって、今まであった?」
「いや……初めてだ……人間の病ってのは、妖怪にとっては未知のものが多すぎるぜ!」
 拳を握りしめ、自分の医学の知識の未熟さに悔しそうに呻く。
 そんな鴆と一緒になって、膝の上の鳥型の鴆も呻き声を上げた。



◇◇◇



「今日も来たのか」
「うん、これお見舞いね」
 リクオは毎日、薬鴆堂へ訪れていた。
 鴆が果物が好きなので、リンゴやミカンに加え、南国のマンゴーやスターフルーツなどが入った籠を手にしている。
 一応、療養中なので酒類は流石に控えた。それに、果物だったら鳥型の鴆も食べやすいと思ったのだ。
 リクオは鳥型の鴆を膝に乗せ、人型の鴆を傍らに抱き寄せる。一人と一匹は、素直に従ってくれた。
 これって、両手に花って奴だよな……。リクオは幸福感を味わっていた。惜しむらくは、鴆と鴆鳥がマスク姿なことだ。
「インフルの方は、もう間もなく完治すると思う」
「良かった。マスク姿じゃキスも出来ないもんね」
 リクオが正直な感想を述べると、鴆はリクオをキッと睨む。
「……うつるぞ」
「分かってるよ」
 リクオは残念に思いながら、腕の中の鴆鳥の首を撫でた。そして、公平に傍らに座る鴆の背にも腕を回す。
 ぽつりと鴆が呟いた。 
「でも、良かった。リクオが……鳥の方のオレも気に入ってくれたみたいで」
 人間の血の濃いリクオには、鳥型の自分は興味の対象にすらならないのではないかと、少し不安に思うこともあったのだ。
 そんな鴆の心配は杞憂だったようだ。
 リクオは鴆鳥のさわり心地をじっくりと堪能している。
 鴆は、そんなことをされるとくすぐったくて堪らないのだが、鴆鳥共々、ぐっと我慢してリクオの好きなようにさせていた。
「うん、話に聞いていたよりずっと綺麗だね!……それに、ちょっとやってみたいことがあるんだけど……」
「なんだ?」
 上目使いで、様子を伺うように言うリクオに、鴆は首を傾げた。





「……おいちょっと待て」
「え?なあに?」
「この野郎!この紐をほどけってんだ!」
 床の間の飾り柱に両手首を紐で括り付けられ、鴆は喚いた。
 一応療養中の者に対してする仕打ちではないと、わなわなと震える。
「変なことしないから」
 リクオはにこにこと笑いながら、少し離れた場所で両腕に鴆鳥を抱えている。
「されてたまるか!」
 リクオがまさに今、変なことをしようとしているのは、鳥型の鴆の方にだ。
 人型の鴆を柱に括り付けたのは、これからリクオがしようとしていることを邪魔されないためだった。
 両手でがっちりと翼ごと体を掴まれてしまい、身の危険を感じた鴆鳥は長い首をばたばたと振って、なんとか逃れようとしている。首を捻って、嘴でリクオの手をつついたが、マスク代わりの手拭いで覆われているので、リクオは痛くもなんともない。
 毒羽根を飛ばして抵抗しないのは、さすがにリクオにそんな攻撃を出来ないからだろう。
「──あのねぇ」
 鴆はびくりと冷や汗をかいた。
「な、なんだ」
「ハトって」
「ああ?」
 いきなり別の鳥の話をされ、鴆は困惑する。
 が、リクオの口から、妙な話が飛び出してきた。
「ハトって、ひっくり返されると、動かなくなるんだって」
 鴆は、その意味も、リクオがこれからしようとしていることも理解できない。
「そ、それがどうした」
「鴆君も、ひっくり返したら動かなくなるのかなって」
「……はぁ?そんなわけねぇだろ」
「だから実験。邪魔しないでね?」
「お、おい!」
 リクオは暴れる鳥型の鴆をぎゅっと掴んで、くるんと天地をひっくり返した。
「うぉっ!」
 鴆鳥と感覚を共有している鴆が、妙な声で呻いた。
 リクオはそんな鴆と抵抗する鴆鳥を全く無視し、鴆鳥の背を畳に付けるよう床にそっと寝かせた。というより、置いたというのが正しい。
 そして、ぱっと手を放すと……。
「うわー」
「み、見るな!」
「……動けなくなるって、本当なんだね……」
 長い足と翼を縮こませ、柔らかな短い羽毛の生えた腹を曝したまま、首も動かすことが出来ず、じっと固まった鴆鳥は紅い瞳を潤ませて唖然として天井を見つめていた。緑色の綺麗な尾羽が、ビクンビクンと震えている。
「……ネットで見たハトと一緒……」
「オレをその辺の鳥と一緒にするんじゃねぇ!」
 そう叫びながらも、柱に括り付けられた鴆も体を強ばらせている。
 リクオはそんな様子を可愛いなぁと、興味津々で見つめていた。
「鳥って皆、そうなのかなぁ。……はっ!まさか、鴆君」
「……なんだよ……」
 またリクオが妙なことを思いついたのかと、鴆は少し警戒する。
「ボクが鴆君を押し倒した時、あんまり抵抗しないのはそういう理由?」
 鳥だから、ひっくり返したら本能的に動けなくなるのかと聞いているのだ。
 いきなり閨の中のことを話題に出され、鴆はマスクから覗く目元を真っ赤にした。
「はぁ?馬鹿言うな!……そんなこと……」
「ねえ、鴆君?」 
 ようやく自力で起き上がろうとした鴆鳥に気づき、片手でひょいと腹を押さえて更に動けなくしてから、リクオは柱に括り付けた鴆に向かって、ちゃんとした答えを聞きたいと迫る。
 自分自身を人質(妖怪質)にされ、鴆は仕方なくぼそりと呟くように答えた。
「……んなこと、お前以外の誰にさせるかってんだよ……」
 恥ずかしそうにしながらもそんなことを言う鴆に、リクオは満足そうに返事をした。
「ボクも、大好き」
 マスク姿の鴆に口付けようと顔を寄せてきたリクオに、鴆はそうはさせまいと首をぶんぶんと振って逃れた。
「馬鹿っ、風邪がうつるだろうが」
「えー、つまんないの」
「いいから早く戻せ!それからこの腕、解きやがれ!……うひゃっ」
 鴆の怒号は、リクオが鴆鳥の柔らかそうな腹毛に指を埋めたことでピタリと収まったのだった。



◇◇◇



 その二日後、ついにリクオが高熱を出して倒れた。
 リクオはインフルの予防接種をしていたのだが、おそらく罹患したのは予防接種の型が違ったのだ。
 本家から至急往診するようにとの要請を受けた鴆は、自分のインフルエンザをうつしてしまったのだと気づき、大慌てで奴良本家にやってきた。
 鴆自身のインフルは、鴆鳥と鴆が一体に戻ったことから治ったことが分かっていた。





 鴆は、本家の妖怪がリクオの容態を詳しく説明し始める前に、足早にリクオの部屋に直行した。
 手には、鴆特性の薬が入った風呂敷包みを抱えていた。
 今回のリクオの病が鴆がうつしたものであれば、今回自分用に調合した薬が合う筈だった。
「リクオ!大丈夫か!」
 勢いよくリクオの部屋の戸を開けると、布団の上に座った主の姿が目に入った。 
「ぜ、鴆君!えーっと、大丈夫って言うか、そうじゃないって言うか……」
「よう、鴆。熱は下がったぜ」
 布団の上にきちんと正座しているリクオと、胡座をかいているリクオ──。
「な、なんだこりゃ?!」
 鴆を鳥型と人に分けたインフルエンザは、今度は百鬼の主を、妖怪と人の姿に分けてしまったのだった。





(2015/01/11 終…?)



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(20150111)
全ての鳥類がそうだとは分かりませんが
ハトとか色々な鳥類が
ひっくり返されると動けなくなるようです。
可愛いですね(*^^*)
皆様もインフルには気を付けましょう。